障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2019年4月373号巻頭文

「共に」ってそんなに難しいことなの?

障害児を普通学校へ・全国連絡会  代表 長谷川律子

全国連の2019年度の文科省交渉・世話人会・総会は3月1日、2日の両日開催し ました。文科省とは、神本恵美子参議院議員のご協力を得て、全国からの世話人・会員・ 当事者の参加で一時間ほどの場が議員会館で設定されました。ありがとうございました。

文科省は、防災部施設助成課法規係、教育課企画室企画係、特別支援教育課企画調査係、 食育課保健指導係長の4名。まあ、びっくりの肩書です。責任のない「係」の方々ばか りでした。どう甘く見ても世間を知らず、経験が少ない、人の痛み、つらさ、苦しみは わからないだろう若い役人ばかりでした。昨年よりひどく、重たい気持ちになってしま いました。「全国連絡会」は社会的に認知されていないのか? 「くやしい」、腹わたが煮えたぎった瞬間でした。

① 川崎市の光菅和希君はご両親と一緒に参加しました。文科省の人たちとの前にドー ンと座り真剣な表情でした。お父さんからは、友達と一緒に学校へと訴えて一年が過 ぎようとしている現状の訴えがありました。昨年の3月2日の文科省との話し合いの 場では「本人の意思を無視して無理やりどちらかに追いやるのは適切ではない」との 回答がありました。なのに、「特別支援学校」に指定されてしまったのです。

② 熊本からは「障害」を理由に定員内不合格をさせたとしか考えられない実態が訴え られました。「共生する社会の実現に向けて」「障害を理由とする差別の解消」とある 差別解消法の法律ができて5年になりますが、「共に」は無視でした。 生の声を聴いても「本人・保護者の意向を最大限に尊重するよう関係機関へ…」との 返答を繰り返すだけでした。

40年前がふーっと浮かんできました。何も変わっていない。「和 希君を早く、同世代の友達の中に戻さなければ、取り戻せない大 切な子ども時代を…」と涙が出てきてしまった一瞬でした。

法律と実態がかけ離れてしまうと、どこかで取りつくろうため に、言い逃れや何かしらを画策しますね。それがインクルーシブ 教育をインクルーシブ教育システム と言い換えて、分離を巧妙に ことば(理念)でごまかしている。…だと思う。

話はちょっと変わりますが、春分の日の新聞記事「保護のきっ かけ…母の暴力、虐待と知った」で本人の「子どものSOSに気 づく社会になってほしい」との訴えを読みました。たまたまこの 数日前に出会った女性は「両親から刃物・首絞めは日常で、家の 中では当たり前だったので、暴力、虐待とも思っていなかった。 介護離職をし、他者と話すようになって、これって違うんだと… 気づいた」と話された。そして「親は、大人は、子どもを守って くれる社会になってもらいたい。小学生の頃、福祉事務所へ行っ たら、お母さんを連れていらっしゃい…だなんて言うんですもの、 信用出来なかった!」と。「子どもたちが、今、危ない…ちょっ とずつつながり、今、活動しています」って笑顔を見せてくださっ た。私は全国連を紹介し、どこかで、何かでつながっていきたい なと思った一時でした

聞こえの良いことばでコントロールされることなく、生活と政 治は密着してるんだと肝に銘じ、自覚的に周りにも伝えていきた いと思っている日々です。やまゆり園事件も沖縄の県民投票の民 意も、全て全国連の「共に」につながっていると思います。課題 はたくさん、今年度の運動方針をもとに、会員の皆様と情報交換・ 共有し活動してまいります。いつでも事務所にいらしてください。 おしゃべりしながら知恵を出し合いましょう。若い世代の皆様も お待ちしております。

新年度のスタートです。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 「共に」ってそんなに難しいことなの?―総会を終えて―/文科省交渉報告/2019年度世話人会報告/総会 課題を深め・共有し合って2019年度運動方針を承認/度2018年度決算報告・監査報告/2019年度予算/学習会報告 パラレルレポート/インクルーシブ教育を求める川崎裁判 第4回報告/新たに、署名のお願い/●投稿  「前例がない」を覆せ!~豊田市教委と繰り広げた「当事者ファースト」の支援とは~/まずは高校教育から排除しないこと! /「学力」が必要なのは誰/各地の集会案内/事務局から/事務局カレンダー