障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2016年4月343号巻頭文

全国連の声はどこへつながり、ひびくのでしょう

障害児を普通学校へ・全国連絡会 代表  長谷川律子

1981年に発足した全国連は「共に学び、共に育つ」ことを求めてきました。

3月12日には、世話人会・総会を開催しました。障害当事者(ご本人)の「――こうしたい」、「私たち抜きに決めないで」と、障害児・者の教育、生きる権利等を歴史から学び活動してきた全国連です。分けることは=差別である、としっかり主張していきましょう。私自身、深く胸に刻んだ二日間でした。

前日の11日は、神本美恵子参議院議員の紹介で文科省交渉(話し合い)が2時間設定されました。当日参加して下さったIさん親子は「親の付き添い(校外学習を含む)を強要された学校生活の現状を訴え、改善を求めました。文科省の対応者は「障害者権利条約を基に、可能な限り共に学ぶ場を整えて合意形成を計る様伝えてきたつもりだが、充分周知されていない、と今のお話しをうかがって思いました。初めてこの様なことがあると知りました…」と。

良心的に解釈したらこの様な方々が前向きに省内で働きかけたなら、風向きは変わるかもしれない。しかし、昨年から引き続き同じ内容での「親の付き添い」に関する訴えです。何が「可能な限り」なのか?「伝えた…」とはどう伝えたのか? 国家権力を突きつけられた気がしました。きっと、もっと、もっと分離を強化しようと思ったかもしれない。

全国連としての切り口、詰め、獲得目標を打ち出して次回の交渉につなげていく ①親の付き添い ②不当な差別 ③合理的配慮 の三点について振り返りました。 「子どもの権利条約」「障害者権利条約」等、79年養護学校義務化以降様々な法案や条約が作成されました。義務化は新たな日本の教育の再編成のスタートラインだった(会報で連載中の高木千恵子さんの文章を参考に)。

そして、今「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(不登校対策法案)が国会で通されようとしています。我が家の息子たちも不登校経験者でした。根本的な〝場〟の検証をせず、徹底して分けたがっている姿勢が見えてしまう――。

地域の子どもは地域の学校に通う――。この一言に尽きます。

社会は目まぐるしいほどの早さでおかしな方向になってきています。教育の場においてもしかりです。この4月からは「差別解消法」が施行されました。「合理的配慮」がしっかり実行されていくのか監視する必要があります。

義務化を知らない世代、分けられて育ってきた世代の親たち・教師たちが多くなりました。また、社会のつながり方としてネットでやり取りすることの善し悪しについて考えさせられます。直接、対話したり議論することが下手になったと思います。

同級生の親たち、学校、教育委員会へ、自分の意思を伝えるには勇気がいります。でも、それを聞いた人や、出会った人たちとはどこかでつながっていくでしょう。社会の仕組み、政治を考える機会になり、風通しがよくなるかもしれません。全国連はそんなつながりを大切に本年度も皆様と共に活動して参りたいと思っております。 ※冊子「つまり合理的配慮ってどういうこと」(頒価500円)をお友だち、学校の先生たち、教委、他におすすめし、私たちも熟読し、活用しましょう。(事務局へお問い合わせください。)

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 全国連の声はどこへつながり、ひびくのでしょう/共に学び共に育つ教育に関する要請書/●3・11 文部科学省交渉 親に付き添い求めるのは差別だ! 現場の実態をわかってない! 初中局企画課専門官にも回答求めて追求!/2016年度世話人会・総会報告/青野洸夢(ひろむ)さんの高校入試定員内 不合格に対する抗議および要請書/神奈川の「インクルーシブ教育の推進」とは/高校通級指導の制度化/普通学校もあかんねん その16/「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」(座長案)の白紙撤回とインクルーシブ教育の推進を求める声明文/●相談からコーナー これで普通学級でやっていけるのでしょうか?/「みんなの学校」仙台上映会へのご案内/事務局から