障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2015年5月号 334号巻頭文

第17回全国交流集会in神奈川~ 子どもは子どもの中で育つ ~

10月3日・4日は横浜でお会いしましょう!

第17回全国交流集会神奈川実行委員長  渋谷治巳

今秋10月3日(土)・4日(日)、第17回全国交流集会in神奈川を横浜で開催いたします。昨年9月に実行委員会を立ち上げてから毎月話し合いを重ねているところです。

ふり返れば、私自身就学時に地域の小学校に通うことが出来ませんでした。両親は何度も校長と話し合いを重ねたそうですが受け入れられませんでした。その小学校は実家の裏にあり、就学前は母や祖母に連れられ放課後の校庭で遊んだ馴染み深い場所でした。結局私は「就学猶予」を通告され、一年後東京都立光明養護学校に入学することになります。

しかし、横浜市内から世田谷まで、ラッシュ時に母が私を背負い通学することは無理があります。一年生の三学期あたりから学校へ行く日が少なくなり、週一日行けるか行けないかの状況が四年生の終わりまで続きました。無論、近所の幼なじみは私が入れなかった小学校に通っており、私はだんだんと家にこもることが多くなりました。つまり陽が暮れるまで泥だらけになって遊び、喧嘩をしたり仲直りをしたりしながら人間関係のルールを身につけていく、当時の私はそんな当たり前の場面から切り離されていました。「子どもは子どもの中で育つ!」その大切さを自分の問題として痛感しています。そして、多くの後輩たちからも私と同じような生活感の稀薄さを感じています。その意味でも現在の教育のあり方は変わらなければならないと強く思います。

私は、どんなに重い障害があっても地域の子どもたちと分けられずに一緒に学び育つことを基本に神奈川で運動をしています。これまで指針としてきた「青い芝」の横田弘さんを一昨年に亡くして元気をなくしているときに、実行委員長の話を持ちかけられました。もう一度原点に立ち返り共に考えていくことは今だからこそ大切なのではないかと思い、重責を引き受けることにしました。

神奈川で高校入学の全国交流集会を開催してから10年以上が経ちました。当時と比べて状況は良くなるどころか、子どもたちはますます分けられていることを実感しています。障害者権利条約が批准されたとはいえ、その基本的な精神は置き去りにされ、特別支援教育がいう「多様な教育の場」として「障害の種類や程度」による分ける場づくりに拍車がかかっています。

神奈川県教育委員会は、一貫して支援教育は統合教育であると言い続けてきました。しかし、昨年の交渉でその成果を具体的に示すよう迫ったところ、全くと言っていいほど示すことができませんでした。特別支援学校は「肥大化」が進み、新設や県立高校への「分教室」の設置など、分けていく方向での施策だけが次々と打ち出されてきました。障害がある子どもたちを通常級へ返していくための取り組みは行われず逆の方向に進んでいます。

この状況は、全国でも同様ではないでしょうか。皆で問題を共有し、共に生きる社会の実現に向けて元気と力を分け合いましょう。

10月3日の全体会は、神奈川からの報告とパントマイム劇団「湘南亀組」の公演です。「身体で表現すること、障害者と健常者があたりまえに同じ舞台に立ち表現すること」をモットーとする「亀組」の公演をお楽しみください。

分科会では2日間かけてじっくり話し合いましょう。

第1分科会=「出生前から就学まで」。出生前検診による命の選別から始まり、出生後は早期発見・早期療育によりレッテルが貼られ一定のレールが示されてしまう現状です。療育現場、保育園・幼稚園、就学前後の親の立場からの発題です。

第2分科会=「地域の子どもと一緒に学ぶ」。小・中学校を共に学ぶ場にするために、現場の実践、介護・支援の態勢、通級(特別支援教室)の課題について考えます。

第3分科会=「地域の学びを高校へ」。今年の受験も全国的にはかなり厳しかったようです。風穴を空けるために知恵を出し合いましょう。受験への取り組み、高校生活、卒業後の進路指導のあり方が発題されます。

第4分科会=「地域で生きる」。地域で生きるために欠かせない制度の問題、共に生きる地域社会を目指す取り組みが提起されます。

第5分科会=「障害者差別解消法をどう使うか」。新しい概念である合理的配慮と、今夏に出されるガイドラインについて話し合いましょう。

分科会の後は、夕食をとりながらの交流会です。食べ物の恨みを買わないように精いっぱい努力するつもりですが……。久しぶりにお会いする方々とゆっくり親交を深めてください。

5・23プレ集会にご参加ください

また、すでにご案内いたしましたが、10月の交流集会に向けて、5月23日(土)には「なぜ、特別支援教育は肥大化するのか」という課題でプレ集会を行います。「教育再生」で混沌とする中、日頃から真摯に子どもに向き合って教育活動をしておられる大森直樹さん(東京学芸大学准教授)に「日本の教育は何処へ向かうのか」というテーマで話していただきます。また朝倉賢司さん(横浜市立港南台ひの特別支援学校教諭)には「横浜市における障害児の幼児期から成人まで」というテーマで現場の状況を話していただきます。ぜひ、ご参加ください。会場があるJR石川町駅周辺は、中華街、元町、港が見える公園、山下公園などの横浜名所が盛りだくさんです。観光も兼ねてお出かけください。

10月に皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2015年5月334号目次
巻頭 第17回全国交流集会in神奈川~子どもは子どもの中で育つ~
10月3日・4日は横浜でお会いしましょう!
・「障害児」の高校入試の状況(2015年春)
・『遵守』を信じて
・3/13文科省交渉の感想  伝え続けていくこと
・全国教研に参加して
・小学校卒業、そして中学校へ
・普通学校もあかんねん その7
・2015年度世話人会報告
・2015年度総会報告
・本の紹介 「そのとき、被災障害者は…」「新版『障害児と学校』にかかわる法令集」
・事務局から
・事務局カレンダー