障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2013年3月 312号巻頭文

課題は山積みのままですが…

障害児を普通学校へ・全国連絡会 事務局長  名谷和子

 全国連では、会の事務局長の任期は3年というのが慣例となっています。私の事務局長としての任もこの3月の総会で次の方に引き継ぎます。

 民主党政権のもと、障害者制度改革推進会議が発足するなど新しい動きの中で、全国連として法改正の実現に向けてどう運動を展開していくか、とても重要な時期であると同時に、会の財政問題や情報共有化など課題は山積みです。どうぞよろしくお願いしますと新事務局長としての挨拶を書いてから3年が経ちましたが、課題は山積みのままだという思いで、なかなかこの原稿の先を書くことができません。でも、止まっていてはいられませんよね。事務局には、普通学級に就学できたという嬉しい報告も届いていますが、就学通知は届いたけれど保護者の付き添いを条件にされたり、進級にあたって、支援学級を勧められたなどの相談もきています。大きな課題を意識しながらも、日々、個別の問題に取り組んでいくのが全国連なのですから。

 事務局長になったばかりのころ、北村小夜さんが「○○さんが、地元で共に生きていくことが辛くなると、会報を1号から読み直して元気を出していると言っていたのを聞いて涙が出てきた」と話してくれました。全国連の運動を支えにしている人がいる。私はそのことをいつも頭の隅に置いてやってきたつもりです。

 この3年間は、「障害者権利条約批准・インクルーシブ教育推進ネットワーク」と共に、「原則統合」への法改正を求めて運動をしてきた3年間でした。文科省からは未だに、学校教育法施行令の改正案が出されていませんが、自民党政権に戻り、昨年7月に出された中教審報告の内容通りのものが出されるだろうと予想されます。もう何度も書いていますが、就学先は「総合的な観点から、最終的には市町村教育委員会が決定する」となるならば、今までと何ら変わりません。

 だからといって、私はこの3年間の取り組みは無駄だったとは思いません。「可能な限り」「配慮しつつ」という文言が入っていますが、「障害者基本法」では、「共に学ぶこと」が教育の基本とされました。「障害者差別禁止法」の制定に向けて、障害による分離は差別であるということが共通認識されました。そこに至るまで、全国連としては、提言提出・文科省交渉・院内集会・ロビー活動・地元議員への働きかけ・パブリックコメントなどの様々な取り組みをしてきました。そのエネルギーは、これまでと違う力となってたまっていると私は思います。施行令がどのような形で出されてきても、新たな気持ちで闘っていきましょう。

 全国連内部の課題としては、財政問題がありました。正直、事務局長になるまでは、総会で出された決算報告や予算案を真剣にみていたわけではありません。でも2010年の総会で出された2009年度の決算報告を見て、私は驚いたのです。その年は、全国交流集会が東京で行われました。会場費を安価にすることで60数万円の黒字となり、実行委員会から全国連に計上したにも関わらず、前年度に比べて繰越金が減っていたのです。調べてみると、年々、繰越金が減額されてい状況が続いていました。このままでは、後、何年間かで繰越金も底をついてしまう、何とかしなければと、危機感を持ちました。このことは世話人会や総会でも提起をし、意見をいただき、運営委員会でも検討を続けてきました。

 結果としては、2012年度は、4月から専従費を4分の3にしていただき、会報の発送作業を運営委員で担当することになりました。会報は1130部印刷しています。20ページになる時は5枚です。発送作業日の朝までに印刷しておきます。丁合をして二つに折り、帯封をつけてセロテープでとめ、発送しやすくまとめていきます。運営委員会のある日の10時半から作業を始めていますが、会議の始まる2時には終わらず、翌週に作業が残ってしまうことがほとんどで、月曜日、火曜日担当の人が、残りの作業をして、郵便局の人に渡しています。

 そして、すでに会報でお知らせしているように、2013年度は、専従体制は無くなり、発送作業だけでなく、会計・事務所運営・管理・相談窓口等の仕事を全て運営委員とボランティアで対応していくことになりました。1月からスタートして2か月が経とうとしています。

 情報を共有できるように、事務所には日誌があり、事務所に来た人は記入することになっています。事務所当番に関して私などは何もできないのですが、ボランティアで来て下さる方を含めて、カレンダーが埋まる日が増えてきていますが、まだまだ足りません。また、一人の方の負担も多くなっています。発送作業・事務所当番のお手伝いをお願いします。

 専従体制がなくなったことで、財政問題が解決したわけではありません。引き続き検討をしていかなければなりません。さらに、どのように事務局運営をしていくかという新たな課題も出てきました。これからも私は事務所の一番近くに住んでいる運営委員として、山積みの課題に取り組んでいくつもりです。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2013年3月312号目次
巻頭
課題は山積みのままですが…
事務局カレンダー 3月・4月
学童保育所への入所は大変厳しい状況
4月からは小学生になります‥
裁判を傍聴してきました‥
全国連・初の連載小説 第7回
ただやみくもな、わけではない‥
相談からコーナー
今年度の相談から その1
(1)支援級から普通学級へ‥
ドキュメンタリー映画完成、ぜひご覧ください
「逃げ遅れる人々」
東日本大震災と障害者‥
事務局から