障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2019年6月375号巻頭文

第19 回 障害児を普通学校へ・全国連絡会 全国交流集会inちば

「あたりまえにみんなのなかで」

~勝手に決めないで! 自分のことは自分で決めるから…~

ちば実行委員長 橋本智子

今夏、8月24日、25 日に開催予定の全国交流集会まで約3か月と迫ってきました。 全国交流集会のタイトルは『あたりまえにみんなのなかで』。昨年11月に開催したプレ 集会と同じタイトルですが、実は、ちば実行委員会の中心になっている団体「共に育つ 教育を進める千葉県連絡会」が2004年に発行した冊子、「千葉県の統合教育6」の表 題になっている言葉です。

障害のある子もない子も分け隔てられることなく一緒に学び育つ子どもたちは、一緒 が「あたりまえ」。この「あたりまえ」は、分けられた子どもたちには(大人たちも)わ かりません。分けられた子どもたちは「障害のある人を『理解』する」ようにと教えら れています。

障害の種類や程度にかかわらず、何ができてもできなくてもみんなと一緒、一緒があ たりまえの日々。できないことは悪いことではなくできないままでみんなと一緒に過ご せるようにみんなで工夫する日々。そんな子どもたちの「あたりまえ」は、保護者や地 域の方々へも広がっていきます。

一方で、現在、分けられてしまう子どもたちが増え続けています。分けているのは大 人の勝手な都合であり、本来は中心に据えるべき〝子どもの気持ち(本人の意思)〟が無 視されているのです。

子どもの気持ち(本人の意思)を大切に、子どもたち(本人)を中心にした集会にし たい。交流集会の副題は、「~勝手に決めないで! 自分のことは自分で決めるから…~」 としました。

「みんなと一緒がいい、一緒にいたい」。子どもにとって「あた りまえ」の思いです。

子どもだから…、しゃべらないから…、と大人が勝手に決めな いで! 言葉にできなくてもいろんなサインを送っているから気 づいて欲しい。気持ちや意思を汲み取って欲しい。娘の場合は、 すれ違う子どもを振り返り見つめ続ける、子どもの声のする方向 に行きたがる、一緒に遊んだ場所から帰るときは大泣きする…等 でしたが、皆さんにも同じような経験があるのではないでしょう か?

「あたりまえ」に一緒に育つ子どもたちは、「あたりまえ」に本 人の意思・気持ちを大切にしています。できるできないで決める のではなく、「どれがいい? 何がしたい?」、「これがしたいん じゃない? ○○はこれが好きなんだよ!」と…。


1日目の全体会では、東京大学先端科学技術研究センター准教授・熊谷晋一郎さんに講演していただく予定です。

入園や就学の際に身辺自立を問われたり、その後も将来の自立 のためにと一人でできるようになることをいろいろと求められた りすることがよくあります。その結果、親はうちの子はできない からみんなと一緒は無理かも…、自立は無理かも…、と思わされ てしまいます。でも、「あたりまえにみんなのなかで」学び育つ 子どもたちを見ていると、一人でできなくても大丈夫、できなかっ たら手伝ってもらえばいいだけ、周りが変わればありのままでみ んなと一緒にいることができるとわかります。

「『自立』とは依存先を増やすこと」だという熊谷さん。『自立』 についてどのように考えるか?

「あたりまえにみんなのなかで」と密接にかかわり、この『自立』 についての考え方で子どもたちの学校生活・卒業後の生活が変 わってきます。「そもそも『自立』ってなに?」。改めて『自立』 について考えたいと思います。


分科会は、「就学前」「小・中学校」「高校」「卒業後」の他に、「ワー クショップ『こんな学校あったらいいな』」と「インクルーシブ 教育『世界の中の日本』」を加え、合計6つを開催予定です。


全国交流集会は、子どもたちの思いを大切に共に学び育ち生き る活動する全国各地の皆さまがつながり、情報交換・交流できる 貴重な機会です。また、開催をきっかけに、多くの方に、障害の 種類程度に関係なく「あたりまえにみんなのなかで」学び育つ子 どもたちの様子を伝え、「あたりまえにみんなのなかで」生きる 社会の実現について一緒に考えて欲しいと思います。

充実した2日間となるよう準備をすすめ、皆さまをお迎えした いと思っています。

ぜひ皆さまお誘い合わせの上、千葉までお越しください。お申 し込みはお早めに!!

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 第19 回障害児を普通学校へ・全国連絡会全国交流集会inちば あたりまえにみんなのなかで ~勝手に決めないで!自分のことは自分で決めるから…~/学校における医療的ケアの今後の対応についてをどう評価するか バクバクの会 ~人工呼吸器とともに生きる~/伊織の高校受験結果と今後の動き /純が諦めない限り/●相談からコーナー 保護者会で子どものことを話せと言われたが…/各地の集会案内/運営委員会こぼれ話 その27/事務局から/事務局カレンダー/第7回 裁判です 傍聴をお願いします