障害児を普通学校へ・全国連絡会 事務局長 片桐 健司
「第11回全国交流集会 in 札幌」まであと2ヶ月足らずとなりました。2年に1度の全国集会、全国からたくさんの方々に来ていただいて、交流を深めることができたらと思っています。
私が、「障害児も普通学校へ」ということにかかわるようになったのは30年も前のことでした。
たまたま自分の受け持っていたクラスに、特殊学級から「交流」という形で一人の男の子がきました。特定の時間だけ私の教室にくることがゆるされていたはずのその子でしたが、「交流」が始まった次の日から特殊学級には行かずに私の教室にいついてしまいました。
初めは困ったことになったと思った私でしたが、その子がいることでクラスの様子が少しずつ変わっていきました。もちろんトラブルもたくさんおきました。でも、そのトラブルをひとつひとつのりこえていく中で、学習面でも、生活面でもそれまでになかった新しい学びや関係が生まれていきました。私は、いわゆる「学力」や点数で表すことのできない学びがあることをその子やその子をとりまく子どもたちから教えられました。「親切」や「思いやり」という言葉では表せない子どもたちどうしの関係ができていくことも知りました。
何かできるようになるとか、障害を「克服」するとかではない、学校での学び合いがあることを見て、私は、いろいろな子がいっしょにいることが大切であり、あたりまえであることを感じました。それ以来、30年間の教員生活のほとんどを、障害があるとかないとか関係なく、様々な状況におかれた子どもたちと普通学級の中でつきあってきました。そして考えてきたことは、専門性があるとかないとかではなく、そこにその子がいることを大切にしようと教員や周りの子どもたちが思うことで、ともに学び合う関係はつくられていくということでした。
以来、30年。20年前には、障害児を普通学校へ・全国連絡会もつくられました。たくさんの障害児といわれる子どもたちが地域の普通学級に入り、この運動にかかわるたくさんの市民、教員、医者、学者とも出会えるようになりました。教員たちからは、教室での実践が次々と報告され、親や本人の立場からも地域で生きることがあたりまえであるとともにその良さが語られてきました。さらに、世界の流れもまたともに学ぶことが原則とされるようになりました。
しかし、一方では「障害児は分けて教育するのがあたりまえ」とする考え方が文部科学省や「発達保障論」を主張する人たちに根強く存在し、その影響を受けている教委や学校は、普通学級に入りたいと思う子どもたちや保護者がまるで悪いことでもしているかのような言い方で親子を責め続け、保護者の付き添いを強要したり、行事や水泳指導に参加させないなど、子どもたちの教育権をも平気で奪っているという現実がいまだに続いています。
最近では、生まれたときから障害児は普通学校に入るべきではないという考え方を保護者に指導している地域も多く、一時減り続けた養護学校、や特殊学級への入学者が増え始め、さらに、普通学級に入ったものの、学校や担任の対応に耐えきれなくてそこを出ていく子どもたちも多くでてきました。
私は、十数年前に全国連絡会の運営委員会にかかわるようになり、全国各地からの情報や相談を受けるようになりました。やってきて思うことは、30年前も今も、同じような相談が続いているということです。
確かに「ともに」は少しずつ広がってきています。人権意識も高まり、障害者についてもバリアフリーが言われ、公共施設の改善も進められました。しかし、こと教育について、学校についての世の中の意識はどうでしょうか。残念ながら30年前と何も変わっていない。政策的にはひどくなる一方です。
現在、全国連絡会をはじめ、障害者団体、教職員組合、弁護士会、その他労働組合や地域グループなど、意識ある人たちによって、この状況を変えようと地道な努力が続けられています。差別禁止法の制定、原則統合に向けての法改正、さらに地域での日常的な支援活動などなど。
この運動をぜひ広げていきたいと思います。厳しい地域で、一人で闘っている人たちともともに歩みたいと思います。そのためには、全国のみなさんが力を合わせ、その輪を広げ、支え合いつつ、ともにがあたりまえになる世の中を築いていかなければなりません。
11回目の全国交流集会は北海道で行われることになりました。ちょっと遠いなあと思われる方もあるかもしれません。しかし北海道からもその輪が広がることには大きな意味があると思います。
今、現地では、着々と準備が進められています。
全国連絡会に連なるみなさん、10月には北海道に集まりましょう。この全国交流集会を成功させ、全国の仲間からたくさんの元気をもらいつつ、その元気を分け合って、私たちの願いの実現のためにさらなる歩みを始めましょう。
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