障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2022年11月410号巻頭文

第14回障害児の高校進学を実現する全国交流集会inくるめ を終えて

実行委員会事務局長 大場 泰司(福岡県・世話人)

2018年9月、愛知県での前回の集会で北村小夜さんからの打診が、すべての始まりでした。「自分のこれまでの運動の集大成にしたい」との思いから中山善人(よしと)さん(元青い芝の会会長)が実行委員長を引き受け、私が事務局長を務めることになりました。

2020年10月の開催を決め、2019年9月、北村小夜さんを講師にプレイベントを行い、準備を進めていきました。新型コロナウイルス感染症拡大により10月の集会は中止、2022年に開催することに決めました。しかしながら、中山善人さんは2020年5月28日、永眠されました。

新実行委員長を中山智博さんにお願いし、交流会と託児は取りやめ、ズーム併用で行うことを決め、例年の2日間開催から1日開催とし、準備を行ってきました。

本番が迫った頃、台風14号が発生し、集会当日、九州に接近する予報が出始めました。天気予報を見てハラハラする日が続き、開催2日前、会場は予定通り使えることを確認し予定通りの開催を決め、会場参加者に「予定通り開催するが、ズーム参加への変更を受け付ける」との連絡を行いました。会場参加を諦め、ズーム参加へ変更する連絡は集会当日の朝まで続きました。

JR九州が計画運休を発表し、朝から西鉄電車も運休になりました。その日の宿泊が福岡市内の人もいて移動手段を確保するとともに、会場参加者の帰宅時の安全確保も考慮し、急遽、昼休みを45分間短縮し、分科会も30分短縮して終了を15時15分にすることを当日朝、決めました。

記念講演はハンセン病元患者の国家賠償請求訴訟や家族訴訟に取り組まれた徳田靖之弁護士です。前実行委員長の中山さんがある裁判闘争でご一緒したことがあり、生前、ご自身で講演を依頼されました。

徳田弁護士はJR九州の計画運休で大分から来ることができず、ズームでの講演となりました。ご両親のこと、新型コロナウイルス感染症による差別、ハンセン病問題に関わるようになったいきさつ、すさまじい差別の現実をわかりやすく丁寧にお話しいただきました。最後に話されたハンセン病元患者の国家賠償請求訴訟勝訴後に、妹さんが無意識に使った「お兄さんたちも苦労したんだね」の「も」に込められた残された家族の苦悩の話には、私自身涙が止まりませんでした。講演は大変好評で、昼食休憩時、「徳田さんの話、とてもよかった」「障害者とハンセン病、関係ないと思っていたが、根っこは同じということが分かった」など、たくさんの感想を聞くことができました。

午後からの4つの分科会では、地元九州・沖縄からと全国からの2本の報告を基に、質疑、議論を行いました。各分科会については、司会者に報告をまとめていただきましたので、そちらをご覧ください。会場とズームという参加体制の中で、しかも急遽、分科会の時間を短縮したことで十分な論議ができず、議論もなかなかかみ合わなかったとのご意見をいただきました。また、実行委員会と司会者の打ち合わせが十分でなかったことも反省点です。司会者の皆さんには大変なご苦労をおかけし、申し訳なく思っています。

30都道府県から、会場、ズームで240名の方に参加していただきました。この集会の成功を何よりも願っていた故中山善人さんも喜んでおられると思います。台風の影響で、延泊を余儀なくされた方も多かったようで、ご迷惑をおかけしました。

今回の交流集会を実施し、若い世代への引き継ぎ、障がい当事者団体との連携、福岡県内での定員内不合格者の多さなどの課題が明らかになりました。今後、地域の学校で共に学びたいと願う人たちと連携し、高校で学びたいと願うすべての人の希望が実現するよう、取り組みを行いたいと思っています。

台風14号接近の中での開催で、記憶に残る集会になりました。事務局としての不手際も多々ありましたが、いろいろな方のご協力により、とりあえず無事に集会を終えることができ、ほっとしています。ありがとうございました。

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他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

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