障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2021年11月399号巻頭文

第20回全国交流集会in東京
やりきりました!

全国交流集会実行委員会事務局長 名谷和子

9月18日・19日、日本教育会館において行われた障害児を普通学校へ・全国連絡会第20回全国交流集会in東京京には、緊急事態宣言下に加えて初日は台風という状況でしたが、 1日目は会場参加が95人、ズーム参加が63人、2日目は66人とズーム参加が72人で、延べ296人の方が参加されました。また、50人(個人・団体)からの賛同金と38件の賛同広告 をいただき、開催資金の面でもたくさんのご協力をいただきました。

コロナ感染状況とズーム配信にずっと不安を抱きながら当日を迎えました。他の集会が軒並み中止される中、本当に実施してもいいのだろうかと会議の度に検討し、「ロックダ ウンになって会場が閉鎖されない限り、最悪、実行委員だけの参加でも赤字覚悟で開催する」と確認してきました。ズーム配信については、万が一、配信できない場合も想定して 、参加費は事後振込みという形をとりました。また、不慣れな者ばかりだったので対応に余裕がなく、8月31日の段階でズーム参加の申し込みを締め切らせていただきました。 ずっと会の運動に関わってきてくださった方もお断りしなくてはならず、心苦しかったです。当日は、途中音声が途切れるなどのトラブルもありましたが、何とか配信ができま した。実行委員会としては、とにかく「やりきった!」というのが正直な思いでした。そして、みなさんからの感想(11~13頁記載)を読んで、「やって、良かった!」と実感 し、1週間たって、コロナ感染の報告が無かったことを確認してやっとホッとできました。

以下、本当に簡単になってしまいますが全体会について報告します。前半は、長谷川律子実行委員長の「私たちは自分たちの言葉で語り、自分たちの仲間とつながることを大切 にしてきた。2日間で私たちの熱い思いをみんなで共有したい。40年の歴史がまとめられているが、私たちは今から、歴史を作っていく一歩を踏み出した。一緒に歩んでいきたい。 全国連絡会は無視できない団体だということを広めたい」という挨拶で始まり、日本教職員組合インクルーシブ教育部長の佐伯安彦さんと DPI日本会議常任委員・教育部会長の 西尾元秀さんから来賓挨拶をいただきました。高木千恵子全国連事務局長からは、40年の歩みと今後の課題を短い時間で提案しなくてはならなかったのですが、①全国連が結成さ れるまでの状況②養護学校義務化されて全国連ができて就学闘争はどうなったのか③その後、障害者権利条約が批准された後もどんなことが学校でおこっていたのか④これからど のような方向に向けてやっていくかという4本の柱で基調報告がありました。続いて、実行委員会の中でこの時期にこの問題に触れないのはおかしいという声が上がり、特別アピー ルとして「小山田圭吾さんの『障害者いじめ』問題から見る、教育の現実に対する声明」(14~15頁記載)を竹迫和子さんが読みあげました。その後、少し準備に時間を要しまし たが、「養護学校はあかんねん!」の上映となりました。

後半のパネルディスカッションについては、印象に残った発言を紹介します。全国障害者解放運動連絡会議の一員として映画の中に登場している戸田二郎さんは「私たちは、 この文部省闘争で敗北してしまいましたが、今につながる大きな爪痕を残した」と。北村小夜さんは1981年の国際障害者年に当時の文部省が統合教育の問題点として、『現行 の特殊教育制度、ひいては学校教育制度全体の根幹に触れる大きな問題となる』とあげていることを紹介して、「このことを逆手にとって利用すべきだ。障害児がみんな普通学級 にいったら、能力主義の根幹に触れて日本の教育は立ち直るかもしれない」と。保護者の立場から五十嵐玉枝さんは「小・中・高と大変な思いはしてこなかった。それは先輩たち の取り組みや支援があったから。今は、知的障害のある子の大学進学に爪痕を残したいと取り組んでいる」と。小学校教員の大和俊広さんは「やまゆり園事件は衝撃だった。分離 教育と能力主義の学校の実態が引き起こした事件、自分の責任じゃないかと率直に思って動悸がした。能力開発工場のような場になっている学校を生活の場にしたい」と話されま した。

集会後の実行委員会(10月4日)では、コーディネーターの片桐健司さんからの「〝共に〟の運動は、なぜ進まないのか?」という問いに対する北村さんの「同じことしかやっ てきていない。日本の教育制度の根幹を揺るがすようなことはできていない」という発言は、これからの大きな課題だと確認しました。集会テーマの「もっと前へ!」を進めるた めに、集会で出された課題を具体的に進めていくための「ポスト」集会を下記の日程で企画しています。詳しい内容は次号でお知らせしますが、ご予定ください。「やりきった! 」と思ったのですが、終わりではありません。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 第20回全国交流集会in東京 やりきりました!/第20回全国交流集会・分科会報告【第1分科会 就学前】【第2分科会 小・中学校】【第3分科会 高校】 【第4分科会 卒業後】【第5分科会 運動課題】/全国交流集会・参加者の皆さんからの感想 /小山田圭吾さんの「障害者いじめ」問題から見る、教育の現実に対する 声明/●「相談から」コーナー 脳性まひの子ですが普通学級に入れますか、どうしたらいいですか?/各地の集会・相談案内/事務局から/事務局カレンダー