障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2019年7月376号巻頭文

就学相談が始まっています

就学前リーフレットを活用してください

東京都・運営委員  名谷和子

リーフレットは活用していただけましたか?

昨年の6月号に、「やっとできました! 就学前パンフレット! みなさんご活用くだ さい」と題した原稿とともに完成したリーフレットを送付しました。ずっとパンフレッ トと言ってきましたが、この形態のものは「リーフレット」と呼ぶとの指摘を受けまし たので、以下、就学前のリーフレット(就学前リーフ)とします。

リーフは2万部印刷しました。現在、全国連の事務所にある残部をみると、この1年 間で約1万2千部が配布されたことになります。この数字をどう評価するかです。

「このパンフレットは、一か所でも多く、一人でも多くの方に届けたいということで、 無料で配布します。地域の活動に役立ててください。地域の子育てセンターや保育園な どで配ってください。ご希望の方は、必要枚数と送り先を全国連の事務所にFAXでお 知らせください。随時、事務所当番が発送しますが、カンパのお願いも同封させていた だきます。〝なんだ、タダより高いものはないんだな〟と影の声が聞こえてきますが、 2万枚を早く配布し終わり、また、作成していくので、その費用にあてます。変えてい きますので、ご意見をお寄せください。更に良いものにしていきましょう。配った時の 様子や感想などもお寄せください。こんな風に役立てているという記事が会報に載るこ とを期待しています。どうぞ、よろしくお願いいたします。」と呼びかけました。 100枚、200枚…と依頼があると発送していき、集会でも配布しましたが、2万枚を配りきること はできませんでした。私自身は、リーフを作成することにエネルギーを費やしてしまい、 その後の取り組みが弱かったと反省しています。

それでも、活用していただいているという手ごたえもありました。地域の就学相談説明 会の会場で配布した、手に取った保護者の方からは「選択肢が あるんだ。自分自身が勝手に決めつけていた気がする」と感想を もらった、日々持ち歩き、とにかくいろんな人に渡していく等の 報告もありました。数回注文をしてくれた会もあります。また、「イ ンクルネット西宮」のみなさんは、今年5月に、西宮版のリーフ レットを作成しました。刺激を受けて、世田谷でも作ろうかと話 し合っています。全国連のだけでなく、それぞれの地域版のリー フレットができていくということは素敵なことだと思います。みなさんは、どのように活用されましたか?

〇〇版ネウボラ

私の住む世田谷区では、子育て支援の政策として「世田谷版ネ ウボラ」が行われています。世田谷だけでなく、全国の多くの地 域で行われているようです。世田谷区で行われたセミナーでは、 「ネウボラとは、フィンランド語で〝ネウボ(neuvo)=アドバイ ス〟〝ラ(la) =場所〟という意味。妊娠から出産、子どもが生まれ た後も基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供する総合的 な支援サービス」と説明をしています。さらに、「ネウボラで行 うことのメインは、対話。こまめに話を聞き、家族に寄り添うこ とが第一です。ネウボラの保健師は、精神的ケアも含めいろんな トレーニングを積んだ人たちなので、家族は信頼と親しみを込め て〝ネウボラおばさん〟と彼女たちのことを呼んでいるんです」 と続きます。

フィンランドといえば国際的な学力調査で世界一位の国です が、「フィンランドの教育はなぜ世界一なのか」(岩竹美加子著  新潮新書)によると、その教育を支えるものは徹底した教育無償 化と平等、そして子どもの様々な権利保障とウェルビーイング(健 康や日々の生活の快適だけでなく、生き生きとしている・心が晴 れやか・自尊心がもてる・他人も尊重できる・人と心地よく繋がっ ている)という概念だそうです。勿論、インクルーシブ教育です。 日本とは教育観・子ども観が大きく違うのに、ネウボラだけを取 り入れているのですから、そこで行われていることは容易に想像 がつきます。社会的孤立や虐待を防ぐことを目的に始めたことで すが、切れ目のないサポート・支援が丁寧になればなるほど、障 害のある子にとっては、分離が進んでいくのではないでしょうか。

リーフをさらに広めてください

各地で日本版ネウボラやそれに似たことが行われています。だ からこそ、一方的な特別支援教育の情報ばかりでなくインクルー シブ教育の情報を届けなければなりません。私は世田谷のネウボ ラに関わっている人たちにも届けようと思っています。フィンラ ンドのネウボラもその始まりは民間の草の根運動からだそうで す。就学相談も始まっています。就学前リーフを同封します。「〇 部送って!」の連絡をお待ちしています。それぞれの地域でさら に多くの人に就学前リーフを広げて活用してください。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 就学相談が始まっています 就学前リーフレットを活用してください/第19回全国交流集会・分科会レポート 第1分科会 就学前「最初の壁を乗り越える」 第2分科会 小・中学校「あたりまえにみんなのなかで」 第3分科会 高校「一緒に楽しも…高校も」/2年連続の障害を理由とした定員内不合格ならびに3月19日の合格発 表に際し警察を導入した神戸市教委に強く抗議する/私の高校生活/映画 生きるのに理由はいるの? ~「津久井やまゆり園事件」が問いかけたものは…~/インクルーシブ教育を求める川崎裁判 第6回報告/●相談からコーナー 「子どもの将来をどう考えていますか」と言われたが/各地の集会案内/統一地方選挙を終えて?議会の仕事へ/事務局から/事務局カレンダー/