障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2011年5月 295号巻頭文

「卒後を考える交流集会IN東京」にいらしてください

卒後を考える交流集会IN東京 実行委員長 前田弘子

いま23歳で知的障害がある私の息子は、東京都府中市の「ごんべのお宿」保育園で「障害があってもなくても共に育つ」経験をしたことがきっかけで、ずっと地域の普通学校、定時制高校に通いました。そしてこのたび私は、7月9日、10日に全水道会館(水道橋駅)で開かれる「第5回卒後を考える交流集会IN東京」の実行委員長を引き受けました。

19歳で息子が定時制高校を卒業して以来、私は「えいやっの会」という、卒業後を考える当事者や家族、支援者、介助者が集まって情報交換をする場に参加し、そこで江戸川区のYさんや、世田谷区のKさんなどの自立の経緯や日常の様子を聞いてきました。そして「障害」があろうがなかろうが、自立は当然だ、問題はそれを支える支援のありかたであり、自立を保障する仕組みが難題であると考えるようになりました。

もちろん、特別支援教育→就労の仕組みも地域にはあります。そして親亡き後の我が子をなんとかしてほしいと行政に一生懸命、施設や就労の作業所つくりを求めている人たちの声が主流であることも承知しています。しかし卒後が福祉的就労では「インクルーシブ」とは違うと思いますし、全国には権利の保障、介護の保障を求めて、地域の人や行政とたたかいながら、地域での自立と「共に働く」場をつくってきた人たちが多数いることを、「えいやっの会」のなかで知りました。

しかし東京で、自立生活や就労を実践している例はそれほど多くはありません。実行委員会では、5月にそのなかの品川区の「わいわいてい」や目黒区の「柿の木ハウス」などを訪問し、報告としてまとめます。全国連の方にも、自立生活についての具体的な近況報告を、質問事項のひな型つくりをお願いすることにしました。けれどもそれにとらわれずに自由に書いて下さって結構です。

私は、毎年開かれてきた4回の集会に、これまで一度も参加していませんので、雰囲気も議論の様子も想像できませんが、江戸川区のYさん、世田谷区のKさんは参加しています。そして「大きな流れから見たら私たちは少数の異端だけれども、普通学校を卒業する当事者がこれから増えて主流となるはずで、そのための情報交換は次につながる」と、この集会の意義を語ってくれます。

さまざまな生活の形があり、困難さも一様でないのは承知しています。しかし、ともに生きる社会をつくるために、ともに困難さを語る、それを次の糧にする、そんな場が東京でも必要でしょう。いま、若者の自立就労が「健常」であっても厳しい経済状況のなか、「障害」者が地域で当たり前に暮らすためには、情報交換とネットワークを広めていくことが大切だと考えています。

よく言われることですが、学校も長いけど、その先はもっと長い。そのことを実感しています。いまは23歳の息子の自立も就労も目指していますが、「困難」の理由を、障害のせいにも社会的のせいにもしている、踏ん切りのつかない親でもあります。しかし私自身が「今でなければ」という決心を固めるためにも集会を成功させたいと思います。全国連のみなさまのご参加をよろしくお願いします。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

障害児を普通学校へ全国連絡会会報
2011年5月295号目次
「卒後を考える交流集会IN東京」にいらしてください
2011年度 総会報告―【多くの意見をいただき、運動方針は承認されました】
2011年度 世話人会報告―【障害者基本法改正案を「足がかりにできるか」について】
全国連発足30周年企画リレートークNo1―【全国連絡会、最初の10年】
戦いは誰のために その4―【公立学校、普通学級に通う】
もうすぐ1年―【今年度高校受験報告】
書評―【三戸学著「僕は結婚できますか?」を読んで】
事務局から
2011インクルーシブ教育実現! 北陸集会